AWSのDBの選択肢の1つとして、Amazon Auroraがありますが、通常のAuroraと比べて、柔軟にスケーリングを行なってくれる「Amazon Aurora Serverless」があります。
Aurora Serverlessには、「Aurora Serverless V1」と「Aurora Serverless V2」があるので、それらの違いや、使い分け等について書いています。
Aurora Serverlessとは
「Aurora Serverless」は、AWSが提供するDBサービスの1つで、負荷に応じたスケーリングをよしなに行なってくれるサービスで、スケーリングにかかる時間もAuroraと比べるとかなり早くスケーリングできます!
Aurora Serverlessでは、ACU(Aurora Capacity Unit)という単位が用いられており、1ACUが約2GBのメモリに相当します。
Aurora Serverless V1とV2の違い
Aurora Severlessには、「Aurora Serverless V1」と「Aurora ServerlessV2」が存在します。
Aurora Serverless V1に関しては、2018年10月に正式版になり、Aurora Serverless V2に関しては、2022年4月に正式版となりました。
下記が、Aurora Serverless V1とV2の大まかな違いになります。
- ACU
- 最小:1ACU
- 最大:128ACU
- 料金
- 1ACUあたり0.10USD/時間
- 特徴
- 一定時間アクセスがない場合は自動停止してくれる(停止時は0ACUで料金がかからない)
- 問題点
- 初回起動が遅く、利用可能になるまでに少し時間がかかる
- クエリ実行中やトランザクションが進行中の場合やテーブルロックされている場合に自動スケーリングできない
- マルチAZ機能なし
- ACU
- 最小:0.5ACU
- 最大:256ACU
- 料金
- 1ACUあたり0.20USD/時間
- 特徴
- 0.5ACUの最小増分でスケールアップ及びスケールダウンを行なってくれる
- クエリ実行中でも自動スケーリングを行なってくれる
- AZに障害が発生した場合に、マルチAZフェイルオーバーを実行してくれる
- 問題点
- V1と比べると1ACUあたりの費用が2倍かかる
- V1のように一時停止することができない(最小0.5ACU)
詳細が気になる方は、下記公式ページを確認してみてください。
Aurora Serverless V1とV2の使い分け
Aurora Serverless V1とV2の違いについて挙げてみましたが、記載した特徴や問題点からも分かるように、V1の場合は、一定時間アクセスがないと一時停止し、アクセスがあると起動する仕組みとなっています。
そのため初回起動に時間がかかるので、ユーザー向けのアプリケーションには向いていないと思います。逆に、社内でのみ使うアプリケーションであったり、開発やステージング環境で使うには、V1が向いていると思います。
V2に関しては、本番環境でも十分に利用できるかと思います。
V1ではマルチAZ機能がないので、システムの可用性や耐障害性に欠けていますが、V2ではマルチAZ機能もついているので、V1より安心して使えますね。
また、V1の場合、トランザクション実行中やテーブルロック中は自動スケーリングが行えません。しかし、V2ではそのような場合でも自動スケーリングを行える点が良いです。
Aurora Serverlessの見積もり方法
AWSの料金見積もりに関しては、公式の「AWS Pricing Calculator」を使えば簡単にコスト見積もりを出すことができます。
Aurora Serverlessの見積もりに関して、V1の場合は、1ACUあたり0.10USDなので、1ヶ月1ACUでずっと動かしていた場合には、73.00USDとなります。

ただし、V1に関しては一時停止機能もあるので、頻繁にスケールアウト等行わなければ73.00USDよりも安く済むかと思います。
Aurora Serverless V2に関しても、V1と計算式は同じです。
ただ、V2では0.5ACU単位で動かすことができるので、0.5ACU単位で1ヶ月丸々動かした場合は、V1と同様、73.00USDかかります。

ただし、V2は自動で一時停止してくれる訳ではないので、最小0.5ACUは動かした状態になります。
まとめ|Aurora Serverless V1とV2の違い
ここまで、Aurora Serverlessについての簡単な説明からV1とV2の違いについて書いてきました。
V1からV2になったことで、テーブルロック中にも自動スケーリングすることができたり、マルチAZ機能が使えるようになったのは大きいですね。
あとは、V2でも一時停止できるようになれば、かなりコストは削減できそうです。
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